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キサ

Author:キサ
ファンタジーとバトルとラヴをこよなく愛し、熱しやすく冷めやすい社会人。

※当ブログの掲載物の著作権は、すべてキサにございます。
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【第4章】魔の血族 -the demon blood- 1

2016.05.16 21:00|クロスマテリア
 遺跡都市イリーダ。
 大陸の北方に佇むこの地は、聖都も認める巨大な国家宝指定都市である。
 かつて、唯一神イルダーナフが舞い降りた地の一つとされ。先人や神人の記憶を重んじる教会側にとって、ここに残る数々の遺跡や遺物は是が非でも守りたいものであった。

 今こそ近代的な観光地として復興してはいるけれど。
 壮大な円形をかたどった複雑な都市構造はしっかりと残されていた。
 ・・・・・・まるで、町そのものが巨大な呪紋の輪(リング)を描いているかのように。

 ファーネリア国の末端とは言え、年がら年中観光客で賑わう市場の中を、溺れるように一人の少女が動き回っていた。





+++++++





「ち・・・ちょっと・・・・っ。――待ってください!」
 前から後ろから右から左から、押し寄せる人の波を避けながら。平然と前を歩く男を必死で呼び止めるも。
 止まるどころか振り返ることもなく、黒い法衣はスタスタと先へ進む。
 その清々しいまでに躊躇ない背中を恨めしげに見上げながら、ミリアはうーと唸った。
 この人の冷徹さはよくよく分かっていたが、従者がこんなにも懸命に呼びかけているのだ。 せめて速度を落とすくらいはしてもバチはあたらないのではないか?
 文句を口にしたのは、ずっと頭上を飛んでいた妖精だった。
「ちょぉーーーっとコラっ。そこ!非道神父っ!ミリアが追いついてないでしょぉー?ストップー!!」
 往来のど真ん中もなんのその。
 持ち前の怪力で彼の服を引っつかむと、ようやく歩みを止めてくれた。


 振り返られた整った顔立ちに、通り掛かる人々の視線が一気に集中したのが、ミリアには分かった。
 そのほとんどが女性のものであることが、どこか面白くない気はしたけれど。 そのまま最後の人を避け、目の前で待つ男―――ラーグの前へとよろめき出て息を整えていると。
「・・・・待ってほしいならそう言え」
「訴えてんじゃないですかー!さっきから何十回も!笑い余って憎さ百倍なセリフは止めてくださいっ!」
 息が上がっていたのも忘れ、ミリアは思いっきり心の叫びをぶちかました。



 魔族の住まう大地―――魔族棲息域(カタンツ)を目指し、ルドルを出てから1週間。
 そのまま《レガイア》を求めて直進かと思いきや、なぜかラーグはここ、イリーダに足を運んだ。
(補給ですか?)
 そう訊ねたとき、
(それもある)
 と、ひどく曖昧な返事を返されたことは疑問だったけれど。
 もともと、行き先も目的もハッキリ言わない人であったし、ミリア自身、魔族の巣窟に入るには少しばかり 心の準備が欲しいと思っていたため、あまり深く追求しないことにした。

「んーで?これからどーするんスか?」
 軒先の側へと移ったあとで、アレンがやはり飄々としまま問いかける。
 クセに近い仕草で鼻先の眼鏡を押し上げ、彼は壁に背を預ける神父へ目をやった。 ラーグは、ほんの一瞬だけ何かを考えたあと、ミリアのほうへ歩み寄り――――。
 きょとんと首を傾げる彼女の手に、小さな金袋を置く。
「?・・・なんです?」
「魔族棲息域に入れば補給は利かん。揃えるだけ揃えてこい」
「あ、はい。って、ラーグはどこに?」
 質問を返すころには再び人ごみの中へと歩を進めていたラーグは、またしても一瞬黙したあと。
「・・・・寄る所がある」
 そうとだけ言い放ち、颯爽と去っていってしまった。


「・・・なんだろ?寄る所って」
「さーあ?ま、宿はとったし。今夜はここで泊まるので決まりだろ。――んーじゃま~、俺もそこら辺ブラブラしてくるわ~」
「へ?アレンもどっか行くの?」
 大きな瞳を丸く揺らすミリアに、アレンは心底楽しそうに組んだ手を頭に添えた。
「だってお前、遺跡都市イリーダだぜ?戒暦前の遺物の数、ざっと五百点!聴報員として、こんなおもしれートコを 勝手気ままに散歩できる機会なんざ滅多にねーし♪」

 そもそも、彼が勝手気ままでなかった例はないように思えたが――――
 なんだか本当に嬉しそうなので、ミリアはそれ以上は何も言わずに軽~く視線を逸らして苦笑した。
「アタシはミリアと一緒にいくわね~。遺跡とか見てもつまんないもん」
 頭の上に乗っかってきたティティを見上げ、あどけない笑みを見せるミリア。
「じゃ、あたしたちは市場で買い物してから宿に戻ろっか」
「おぅ。んじゃぁ、またな~」





+++++++





 あまり土の肥えていない北の大地と言うことで、イリーダの市場に並ぶのは保存食としては最適なものが多かった。
 穀物よりは、もっぱら肉類が多い。北東に覆い広がる密林は、狩猟者にとって恰好のエサ場だ。
 緑林より岩石に囲まれた地帯独特の特産品として、ここらで最も有名なのが数々の聖石である。中には特殊な呪紋を彫り、魔力の増幅器などとして働くものもある。
 ちなみに、恋愛成就のお守りが今、巷の女性の間では大ブームだったが・・・・・・
 興味のない者の前に並んでいても、あっさりすっぱり素通りされるだけだった。

「・・・・・・・あれ?」
 あらかたの補給を終え、そろそろ宿に戻ろうかと往来を突っ切っているとき。
 この場にはあまりにそぐわない空気に、ミリアは足を止めた。
 ・・・・聖気と魔気の気配・・・・・・・
 人ごみの中で、一際目立つ相反した2つの力の流れに、無意識のうちに全身の警戒が促される。
「ん?どしたのミリア。・・・この露店がどーかした??」
 側でパタパタと羽根を震わせるティティは気づかないらしい。 市場の店はほとんどが小さな露店を設けていたが、ミリアが立ち止まったそこはさらに引っ込みそうなぐらい小さく、手押し車のような移動式になっていた。
 軒先に無造作に並ぶのは、装飾の施された皿やら壺やら・・・・・どうやら、骨董品店のようだ。
 使い古された看板には、「レイヴィッツ骨董品店」と書かれていた。 その中の、あるランプに手を伸ばす。
 埃まみれのそれを見て、ティティは正直に口を歪めた。
「うっわ!汚いランプ~・・・ミリア、そんなんがいいのぉ~?」
「・・・ティティ、このランプから―――」
「おー。いらっしゃい!お客さん運がいいねぇ、そろそろ店仕舞いだ。好きに見てってくれよ!」
 突如割り込んできた快活な店長の声に、思わずびくっと肩を震わせる。
 いつから居たのか、そこにはいそいそと露店の片付けを続ける大柄な男の姿があって。
「あ、ごめんなさい。急いでるんならまた明日にでも・・・」
「やーやー、残念だがそりゃ無理だ。売り上げがないせいで場所代払えんくて、明日には他の町へ引っ越すことになったんでね~」
「・・・・・・ソレってつまり強制てっぱ・・・」
「おぉっと!お客さんその手に持ってるのはまさか・・・・」
 やや不自然なくらい明るい営業スマイルで話を切り、店主はミリアの手のランプを、それも驚愕の面で覗き込む。
 しばしの沈黙があって―――――

「・・・いや。いや、いや助かる・・・じゃなくて、毎度あり!そのランプがご所望かい?」
「は!?」
「ああ、期日ギリギリまで居座った甲斐があったってもんだ。人伝いに譲り受けた品なんだが、どういうわけか誰も持てなくてなぁ。 俺ですら、聖印を刻んだ手袋しないと触れもできないときたもんで、いい加減棄てていこうかと思ってたんだが・・・・・。まさかそいつに 触れる人がいるとはな!・・・・お嬢ちゃん、これは運命だね!」
「胡散臭すぎじゃないですか!!第一っ。あたしまだ買うなんて一言も―――――」
「閉店セールだ!370ルーン!!!」
「や、安い・・・!」

 一瞬だった。
 気づけばいつの間にか、店主の姿は露店車ごとその場から消えていた。
 ミリアの手に、埃まみれのランプだけを残して。
 小刻みに肩をふるふるさせて、ミリアはランプと通りを交互に見る。
 ・・・これは、これは買い逃げならぬ・・・・・・・・
「う、売り逃げー!金返せーっ!」
「うん。とりあえずミリア。アンタ今度から買い物はアレンに行ってもらいなよ。」
 ティティの冷静なコメントも、空しく砂塵に流されるだけだった。





+++++++





 賑わう通りから少し外れた裏路地。
 そこへ足を運んだラーグは、ある扉の前で止まった。人伝に聞いて回って得た場所だ。
 ・・・・この扉の向こうにいるだろう人物の性格を考えても、間違いはないだろう。
 するとそのとき、古ぼけた木の扉の向こうから怒声が響いた。


「いい加減におしよ!あたしは呪術師じゃないんだ!!」
 ごっしゃん!と自室のテーブルを叩き、女は怒りも露に相手を怒鳴りつける。
 漆黒の長い髪は柔らかくまとめあげられ、上質な絹を感じさせる。この大陸では見慣れない、一枚布の衣類を身につけており、 室内に焚かれた香と美貌が重なって妖艶な美しさを染み込ませていた。
 女は赤い瞳に煌々と苛立ちを刻み込み、勝気な物腰で相席(にはすでになっていなかったが)の男を指差す。
「だいたい何サ!上司のいない間にちょこちょこっと、遺跡一つ彫り上げたいって?アホゆってんじゃないよ! 古代聖地の遺跡が、んなちょこちょこっとな努力で封印解呪できてたまるもんかい。ふざけた依頼ほざく前にもちっと土のことから 勉強しなおしてきな!」
「な・・・!お、おまえがスゴ腕の術師というから来たんだぞ?」
「あーあそうさ?あたしはスゴ腕さ。ただし、礼儀を弁えた客限定でね!」
 押しつぶしそうな威圧感に、男がもごもごと言葉を濁らせる。それを呆れ眼で見て、ふと、女は扉の外に人の気配を感じた。
「ほらほら次の客だ。出てってくんな。ウチも忙しいんでねぇ―――・・・・・・」
 そうブチブチ毒づきながら扉を開けると――――
 ぴたりと、彼女の視線が虚空で停止した。
 目の前で無言のまま佇む金髪長身の男を、少々不似合いなくらいキョトンとした目で見上げ・・・・・・

 次の瞬間。
 扉は烈風の如き勢いでリバースしていた。
 あまりのことに、怒鳴られていた男さえも硬直する。扉の前で立っていた男の姿を確認するや否や入り口を閉ざしたことより、 それをやった女の青ざめた表情が辛辣すぎる。
 まるで化け物を見たような顔だ。
「あああああんた、も少しゆっくりしてかないかい!?」
「・・・は?」
 引きつった笑顔に、男は言いようのない悪寒を感じ、一歩退く。
「も少しと言うかもう、何分でも何時間でもはたや1日でも・・・――」
 言い切る前に。

 頑なに閉ざしていた扉は突如、外側からの凄まじい爆発によって吹き飛ばされた。


 最小限に抑えていたとは言え、木造建造物の耐久性など知れたことで。
 見晴らしの良くなった壁の向こうから、単調な男の声が届く。
「久々の客を門前払いか。随分と稼いでいるようだな、タキ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ラーグ・・・・・・」
 全身ススだらけのタキは、ものすごーく嫌そうに振り返り――――むせた。


「~~ったく・・・。これじゃなんのためにアンタの裏かいてわざわざコッチの国内に越してきたのか、分からないじゃないか」
 往来の視線が降り注ぐ中、とりあえず無事だった奥の部屋にすわりつつ。
 汚れた服装を整えたタキは、美貌の容姿に似合わない粗雑な仕草でどっかとあぐらを組んだ。
 主要の客間と違って、年季の入った畳の敷かれた自室には幾分生活観のようなものが漂っていて。
 物珍しそうな素振りも見せず、通された―――と言うよりはほぼ強制的に侵入してきたラーグは、相変わらず横柄な態度のまま 低く目を伏せる。
「気に病むことはない。自分の浅はかさを嘆いても仕方なかろう」
「・・・・・・・あいっかわらず、いい根性してるねあんたは」
「事実を言ったに過ぎんが」
 さらりと言ってのけるラーグを睨みつけるタキ。ふと、その赤い瞳が金の十字架(クロス)捉えた。
「へぇ・・・・どうやら大聖堂教会には入れたみたいだね。金の十字架ってことは・・・・神官クラスかい?」
「神父だ」
「ふぅん。・・・・で?《レガイア》は見つかったのかい?」
 何気ない質問に、それまで微動だにしなかった眉目がわずかに揺れる。
 言いようのない空気の重苦しさと、いつまでも返ってこない答えに不審を感じたのか、タキの顔が呆れたように歪んだ。
「ちょっとちょっと・・・・・まさか忘れてんじゃないだろうね?三大宝剣のうちの魔剣の場所を調べろっつってきたのはアンタじゃないか」
「・・・たしかにお前の占いどおり。《レガイア》は大聖堂教会にあった」
「あっそ。そりゃ、良かったねぇ」
「だが、今はない。盗まれた。おそらく、《使徒》の仕業だ」
「だ・・・っ《使徒》って・・・」
「それを奪い返すため、この後魔族棲息域へ行く」

 突然の思いも寄らぬ言葉に、タキの瞳は瞠目の色を刻む。こんなところで《使徒》の話が出るとは思ってもみなかったのだ。
 状況を掴みきれていない彼女に、ラーグはこれまでの流れを、あまり丁寧とは言い難い説明ですませた。


 やがて、タキは白い額に手を当てると、憔悴しきったように息を吐く。
「・・・・・毎度毎度。っとに心臓に悪い男だよ。それであたしのトコに来たってわけか」
「ああ。だが――」
「場所を聞きに来たわけじゃないってんだろ?んなコト、アンタがここに来たときから察しはついてたサ」
 空いた手の平を気ダルそうに泳がせながら、タキはゆっくりを体勢を直し、ラーグを見る。
 動揺と確信を滲ませた頬に緊張を走らせ、彼女の口は動いた。
「単刀直入に聞くよ。・・・・あんた、いつから魔獣を喚んでないんだい?」

 沈黙が降りてきたのは、ほんの一時のことで。
 ラーグは組んだ腕をほどくと、視線を窓の外へ運びながら呟いた。
「・・・勘の鋭さは健在だな」
「当たり前さね。今のあんたの魔気は極端にすり減ってる。扉の内と外で、あたしがアンタだって分からなかったほどね」
 とっとと答えな、と、タキの声が急かす。
「先日、ルドルで冥界の門を召喚して、それ以来だ」
「ルド・・・・・っ 聖地へ行ったのかい!?しかも門て・・・・バッカじゃないのかい。あんな聖気の塊みたいな所でンな大技使やぁ、そりゃ食い潰されるよ」
「それが1週間前のことだ」

 1週間。
 普通、限界まで削った聖気や魔気の回復には、絶対安静のもと最低でもひと月はかかる。魔導容量の高い者など、元通りになるまで 半年を要する場合もあるほどだ。
 1週間でどうこうなるなど尋常ではないのだが―――
「・・・そーいや、あんたはフツーじゃなかったんだよね」
 細い記憶の糸をたどり、疲労を滲ませるタキ。
 そして沈黙を続ける目の前の男に、あっさりと事実を言い放った。
「残念だけど、今スグじゃ原因やら対処法は分からないよ。ま、ちょいと時間がかかってもいいってんなら、調べてやってもいいけどね」
「どれくらいかかる?」
「そーだねぇ・・・・2日もあれば」
 適当に答えるタキに、ラーグは一言、「問題ない」とだけ返した。
 それで終了かと思いきや――途端に、タキの顔色が勝ち誇ったように緩みだす。
「まっさか、これで終わりとは思ってないだろうねぇ。コッチだって一応、商売なんだよ?慈悲深い神父サマ」
 妖艶な面に物申すみたいな営業スマイルを浮かべる彼女の眼前に。
 わずかな間すらなく、ひとつの袋がジャラリと音を立てて置かれる。
 タキの目が、文字通り点になった。
「金なら好きなだけ取っていけばいい」
「・・・っあんた!ナニさこの大金。教会は一介の神父の旅に、こんなにも持たせてんのかい?!」
「仕事の一貫だ」
 そう言い捨てて放っぽった金が、旅の途中途中、ありとあらゆる「仕事」をこなしつつほぼ騙し取ったような形で手に入れたものであることなど、この占い師は 知らないはずなのに。
 タキはどこか妙に悟ったらしく、首を項垂れる。
 どうやら、思い通りラーグを困らせることができなくて悔しいのもあるようだ。

「分かったらとっとと働け。お前の仕事だろう」
「・・・・そーだね。昔からそーいう奴だったよね、あんたは」


 用が済めば、ラーグがここに留まる理由もないわけで。
 颯爽と扉へ向かう背中を、タキの声が呼び止めた。
「今日は宿かい?」
「ああ。2日後に来る」
「へーへー。ごゆっくりお客様。・・・っと。ところでさっきから外にいるボウヤ、あの子も旅の連れかい?」
 何気ない口調に、一瞬周囲の空気がひんやりと固まった。
 ラーグは振り返ることなく無表情のまま、短く。
「・・・・・そんなところだ」
「ふぅん。じゃ、ついでに言っといとくれよ。歳のわりには、欠かず過ぎずいい気配の消し方だってね」
 ラーグは返事をすることなく、彼女の自室の扉を閉めた。


「・・・・・だ、そうだ」
 一歩出れば、そこはすでに往来と繋がっていて。
 大きなヒビが走る壁にもたれていた少年は、鼻先の眼鏡をクイッと引き上げると、「あちゃ~」と苦笑した。
「なんだ、バレてたんスね~。神父さんも気づいてたんですか?」
「お前の役目は俺の監視だ。当然だろう」
 淡々と言うセリフに、アレンはやはり困ったように頭を掻いて。
 やがて、閉ざされた扉へ視線を移すと、声を低くする。
「ただの人間じゃないっスね。・・・・・・一体、何モンなんです?あの人」
「お前と似たようなものだ」
「・・・・へ?」

 視線を戻す頃には、すでに神父は通りの中へ溶け込もうとしていた。
 軽く顔をしかめて、アレンは刹那立ち尽くし―――やがて、黙ったままそれに続く。

 ・・・・・・・・・・考えられないことはない。
 すなわち



 あの女性も、《禁忌の仔》であるということだ―――――

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